耐食性を必要とする配電盤類は、ステンレス製ねじを利用する場合が多いです。
ステンレス製ねじの材質について説明します。
ステンレス鋼の特徴
1)塩害地域・化学プラント内に設置する配電盤には、耐酸・耐食性に強い※オーステナイト系の
ねじが使用されます。
2)高温腐食・高温強度が強く、耐熱用として使用されます。
3)ステンレス鋼は、普通鋼に比べて熱伝導率は1/3、熱膨張係数は1.5倍と高いです。
よって、ステンレス製ねじは、焼付き防止対策が必要です。
※オーステナイト系とは、
Cr、Niの含有量が多く耐食性・耐熱性に優れた合金です。
非磁性体です。冷間加工後に多少の磁性がでることもあります。
展延性に優れ、降伏点も低いので高度の加工が可能です。
A2(SUS304・SUSXM7)の鋼種は、塩化物と接触する用途には適しません。
A4(SUS316・SUS316L)の鋼種は、Moを添加した耐食性に優れた材料です。
化学成分

SUS304 の特徴
1)18-8ステンレスと呼ばれる最も代表的なステンレス材料です。
2)耐食性に優れていて機械的性質も良好です。
3)冷間圧造すると硬化して割れる場合があります。
4)磁性を発生することもあり冷間圧造に適していません。
SUSXM7 の特徴
1)SUS304にCuを3%添加して冷間圧造ができる様にした材料です。
2)耐食性や強度はSUS304と同じ。
3)ステンレスのねじの多くはXM7を使用し、冷間圧造の大量生産効果で価格を下げました。
SUS316 の特徴
1)SUS304に耐食性を向上させるモリブデンMoを2%添加した材料です。
2)ニッケルNiも12%に増量し、耐食性をさらに上げています。
しかし、ニッケルNi12%添加以上になると、硬化して加工が難しくなります。
SUS316Lの特徴
1)SUS316の炭素量を0.08%以下から0.03%以下に減らして、加工をし易くした材料です。
2)LはLow CarbonのL
耐食性、延性、加工性に優れています。
SUS316Lの炭素Cは0.03%以下、他の化学成分はSUS316と同じなので、
SUS316Lは、SUS316に含まれます。
まとめ
ステンレス鋼製ねじの材料は、加工性よりSUSXM7またはSUS316Lの材料が使用されます。
SUSXM7は耐食性が良い材料です。
SUS316LはSUSXM7よりさらに耐食性の優れた材料で、塩化物と接触する用途に使用できます。
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