新規設計する際、寸法許容差はどう指示したら良いでしょうか🤔?
社内規格に寸法許容差の規定がなければ、自分で設定しないと!。
近似の図面を探し先輩の図面を見習うのも良いですが、根拠を説明できた方が良いですよね😊。
ここでは 部品の寸法公差設定の方法を紹介します。
初級~中級の板金設計者の方に情報提供をします。設計の一助になれば幸いです。
社内規格に部品公差の記述がない ⇒ JIS規格を参照する
●社内規格に寸法公差を設定していなければJIS規格を参照してください。
JIS規格には以下の規格があります。
JIS B 0403 鋳造品寸法公差
JIS B 0405 長さ寸法及び角度寸法に関する公差・・・表1 参照
JIS B 0408 金属プレス加工品の普通寸法公差・・・・表2-1、表2-2 参照
JIS B 0405 長さ 公差等級 | 0.5以上 3以下 | 3 を超え 6以下 | 6 を超え 30以下 | 30 を超え 120以下 | 120 を超え 400以下 | 400 を超え 1000以下 | 1000 を超え 2000以下 | 2000 を超え 4000以下 |
f 精級 | ±0.05 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.15 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ― |
m 中級 | ±0.1 | ±0.1 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 |
c 粗級 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 | ±3 | ±4 |
v 極粗級 | ― | ±0.5 | ±1 | ±1.5 | ±2.5 | ±4 | ±6 | ±8 |
JIS B 0408 長さ 公差等級 | 6以下 | 6 を超え 30以下 | 30 を超え 120以下 | 120 を超え 400以下 | 400 を超え 1000以下 | 1000 を超え 2000以下 |
A級 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.15 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 |
B級 | ±0.1 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 |
C級 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 | ±3 |
JIS B 0408 曲げ/絞り 公差等級 | 6以下 | 6 を超え 30以下 | 30 を超え 120以下 | 120 を超え 400以下 | 400 を超え 1000以下 | 1000 を超え 2000以下 |
A級 | ±0.1 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 |
B級 | ±0.3 | ±0.3 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 | ±3 |
C級 | ±0.5 | ±1 | ±1.5 | ±2.5 | ±4 | ±6 |
1-1 寸法公差の基準は JIS B 0405 中級を基準にしてください・
1-2 金型を使用する金属プレス部品は JIS B 0408 表2-1,表2-2の B級 を基準にしてください。
1-3 鋳造品はJIS B 0403を参照してください。
1-4 樹脂板、ゴム板打抜き品は JIS B 0408 表2-2の C級 を基準にしてください。
1-5 樹脂射出成形品の寸法公差表はJIS規格にありません。
1-6 ゴム成形品の寸法公差に関するJIS規格はありません。
樹脂・ゴム成形部品のJIS規格が無い ⇒ 関連部門と調整する
2-1 樹脂成形品の寸法精度は使用材料の成形収縮率と形状の影響が大きいので設定が難しい。
部品精度(100%)=金型製作許容差(33%)+金型の磨耗代(17%)+成形収縮率(50%)
特に型開き方向の寸法は材料の充填量、型締め力に影響を受けさらに精度が悪くなる。
⇒ 金型製作部門、成形加工部門と打ち合わせて成形品の精度を設定してください。
ドイツ規格 VDI(ドイツ技術者協会)も参照するといいです。
2-2 ゴム成形品は JIS B 0405 表1の 極粗級 を基準にしてください。
高精度品なら金型製作部門、成形加工部門と打ち合わせて精度を設定してください。
シートメタル加工品公差(タレパン、レーザー、ブレーキ等の加工)
3-1 公差の目安は、金型を使用しない400㎜以下のシートメタル加工品の場合、加工機精度を考慮し
普通公差は ±1 程度が適当です。
1)タレパン、レーザー切断加工機の切断精度は、±0.1以下を実現できる加工機もあります。
2)プレスブレーキ、パネルベンダーの曲げ加工は、材料板厚のバラツキに影響を受けます。
加工機の精度が良くても材料のバラツキが大きければ曲げの精度は悪くなります。
SPHC(±0.18程度)より、板厚のばらつきが少ないSPCC(±0.12程度)を使用してください。
3)炭素鋼の線膨張係数は10.92x10-6で、小さな寸法公差を指定しても±0.1管理は難しいです。
例)長さ450mmの鋼板は20℃温度上昇すると+0.1長くなります。
4)寸法の重要性によりますが、±0.05を判定可能なノギスの測定長は400mm以下が多いです。
測定長1000mmのノギスも市販されていますが、コンベックス(鋼製巻尺)を利用します。
部品の寸法公差 まとめ
●社内規格が無い場合「JIS B 0405 長さ寸法及び角度寸法に関する公差」中級を基準にする。
●金型を使用する金属プレス部品は、 JIS B 0408 表2-1,表2-2の B級 を参照する。
●金型を使用しない400㎜以下のシートメタルの抜き曲げの目安は±1とする。
●鋳造品はJIS B 0403を参照する。
●樹脂板、ゴム板打抜き品は JIS B 0408 表2-2の C級 を参照する。
●樹脂成形品の寸法精度は使用材料の成形収縮率と形状の影響が大きい。
金型製作部門、成形加工部門と打ち合わせて精度を設定する。
参考資料
JIS B 0403 鋳造品寸法公差
JIS B 0405 長さ寸法及び角度寸法に関する公差
JIS B 0408 金属プレス加工品の普通寸法公差
最後まで見ていただき ありがとうございました。
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