包装は、振動試験、衝撃試験、圧縮試験などによって評価します。
包装設計する際の試験方法は、「JIS Z 0200 包装貨物-試験方法一般通則」に記載があります。
配電盤の包装を念頭において、包装性能の試験と対策を説明します。
振動試験と対策
●振動試験の区分
輸送条件によって3つの区分から選択します。
各社の状況により考慮します。国内販売の場合、レベル2が適当と考えます。

●振動試験の方法
1)輸送中の拘束方法及び積載方法を模した状態で振動台に搭載する。
2)ランダム振動試験又は正弦波対数掃引振動試験を行う。
3)輸送中の積付け方向が予測できない場合は、通常輸送状態、縦置き状態及び横置き状態
それぞれの姿勢で試験を実施する。
4)縦置き状態及び横置き状態それぞれの姿勢で試験を実施する。
5)振動方向は垂直方向とする。

●振動試験による破損対策
1)ダンボール箱と製品(塗装品)との「擦り傷」を改善する。
→①製品全体をポリ袋で覆う。
例)低密度ポリエチレン(LDEN:透明)で包む。
→②製品を段ボール箱から浮かす。
例)コーナーに擦り傷防止のPE発泡シートを挟む。

2)段ボール箱のフラップ端面と製品の「接触」を改善する。
→フラップと製品の間に厚紙・段ボール板・シートを敷いて傷を防止する。

3)付属部品を梱包テープで固定した場合、包装内で「動かないか」を改善する。
→付属品の固定位置、梱包テープの貼り方を指示する。
→カートンのフラップを曲げて付属品を挟んで固定する。
→梱包テープに頼らず、付属品を小箱に入れてカートンに固定する。
4)付属品を入れるポリ袋の「破れ」を改善する。
→重量物は、ダンボールで製作した小箱に収める。
→厚いポリ袋を使用する。
衝撃試験(落下試験)と対策
●衝撃試験の区分
輸送条件によって4つの区分から選択します。
各社の状況により考慮しますが、積み替え回数よりレベル3が適当と考えます。

●衝撃試験方法の選択
人力による荷扱いの場合は、自由落下試験、
機械による荷扱いの場合は、片支持りょう落下試験の いずれかを選択します。
各社の状況により考慮しますが、分電盤の場合、50kg未満の包装は、荷扱いより自由落下試験、
100kg以上の包装は、片支持りょう落下試験、
50kg以上100kg未満は、想定荷役によって選択する が適当と考えました。
●自由落下試験の試験方法



●片支持りょう落下試験の試験方法
底面とつま面とに接するりょうを高さ15cmの台の上に支持し、反対のりょうを指定の高さから
各りょうについて 2回づつ落下させる。


●衝撃試験による破損対策
→①カートンの上下方向に緩衝材を入れ、落下する位置を製品から遠ざける。

→②カートン内で緩衝材を詰めて製品が動かない様にする。

→③カートンを小さくして製品が動かない様にする。
→④製品を気泡緩衝材(プチプチ)で巻き、緩衝材を増加する。
→⑤衝撃を減らす様、混載便から直送便にする。専用のかご車で輸送する等輸送方法を変更する。
圧縮試験と対策
●圧縮試験の区分
輸送条件によって3つの区分から選択します。
各社の状況により考慮しますが、保管条件、荷重係数、負荷係数よりレベル2が適当とします。

●圧縮試験の試験方法
静的荷重を24時間負荷する。負荷係数は次によります。
荷重 F=9.8xKxMxn
F:荷重(N)
K:負荷係数
M:供試品の総重量(kg)
n:流通時の最大重ね段数(最下段は含まない)
各社の状況によりますが、積載高さは、周りを見渡せる1.5mが適当と考えます。
●圧縮試験による破損対策
圧縮試験にて破損した場合、包装を強化するか積載荷重を減少させる
→①段ボール箱を強化して積載荷重を向上させる。
→②積み段数を減少させ、積載荷重を減少させる。
以上