配電盤類の板金筐体や部材は、サイズ・形状が様々なので、汎用機で板材を「抜いて」製作します。
ここでは、「鋼鈑部品を抜いたり穴をあける 抜き加工概要」を説明します。
板金加工における抜き加工は、「切断」、「穴あけ」、「形状の切り抜き」等を、プレス、 レーザー、ワイヤーカットの様々な加工機を用いて行うせん断加工です。
電気・事務機器の大量生産(1000個/月~100,000個/月)される多くの部品は、専用型を用いてプレス加工します。専用型は必要ですが、工程自体も簡略化でき、部品単価の引き下げに貢献します。
一方、配電盤類に用いる少量多品種の部品は、タレットパンチプレスやレーザー加工機、ワイヤ-カットなどを用いられる場合が多いです。
「タレットパンチプレス」と「レーザー加工機」 を説明します。
タレットパンチプレス
●タレットパンチプレス機の概要
=[多数の金型を装着するタレット]+[ワークを保持移動するテーブル]+[NC操作盤]
特徴は、
1.薄板加工に適しており、金型を利用して小径の穴、定形穴を高速、高精度で加工できます。
2.パンチ金型を交換して、様々な形状の穴加工が可能です
3.レーザー加工機に比べて、設備投資もランニングコストも低い です。
●打抜きせん断力
打抜きせん断力(総トン数)=(パンチ外周長)x(板厚)x(せん断抵抗)÷1000
例) SPCC、t2.3に直径20㎜の穴を打抜く力?
打抜き力=20㎜xπx2.3㎜x35kg/㎟÷1000≒5t
●成形加工もできます
バーリング、 ハーフシャー、 エンボス、 ノックアウト、 ルーバー
レーザー加工機
●レーザー加工の原理
レーザー発振器から導いたレーザー光をレンズで絞り、板材に照射して局部的に溶融させます。
同時にノズルからアシストガスを噴きつけて、溶融物を吹き飛ばして切断を行います。
レーザー光の集光径と同じ微小な幅で切断します。
レーザー発振器には「CO2レーザー」と発振効率が3倍の「ファイバーレーザー」があります
●レーザー加工機の特徴は、
1.レーザー光による非接触加工で、工具の摩耗がありません
2.複雑な形状を加工できます。曲線や長い直線を継ぎ目なく加工ができます。
3.高精度な加工が可能です です。
●アシストガスの種類
酸素:鉄の薄板から厚板までの切断用。酸化被膜の除去が必要です。
窒素:主にステンレスの切断に用いられる。鉄系は切断面が錆び易くなります。
イージーガス:空気から酸素を除去して窒素濃度を97%以上にしたガスです。薄板鋼板に用います。
以上