配電盤類では板材を汎用機で曲げて板金筐体や部材を製作します。
圧力表は曲げ作業にとても重要な道具です。
ワークの板厚と内側曲げ半径が決まると、圧力表から次のことが分かります。
① 材料を1m曲げるために必要な圧力
② 曲げに使用する金型(ダイ)のV幅
➂ 曲げの最小フランジ寸法
ここでは、圧力表を十分使いこなすために説明します。
一般軟鋼鈑の圧力表
ステンレス鋼鈑の圧力表
ステンレス鋼鈑は、一般軟鋼鈑より引張強さが大きいので圧力も異なります。
曲げ圧力の計算(加圧力、板厚、長さ、引張強さの関係)
加圧力Pは次の計算式、Cの値はV/tによって1~2になります。
Pとt、L、σb の関係が重要です。
P=C・σb・L・t2/V・1000
加圧力 P は、板厚 t の二乗に比例する
加圧力 P は、長さ L に比例する
加圧力 P は、引張強さ σb に比例する
例1 材料はSPCC、板厚1.6㎜、長さ2000㎜を曲げる際の所要圧力はいくらか?
V幅は、V=6x1.6=9.6 → 直近上位のV=10 とする
圧力表より、t1.6とV=10 の交点から F=170kN/m
P=170kN/mx2m=340kN
例2 材料はSUS304、板厚1.5㎜、長さ2000㎜を曲げる際の所要圧力はいくらか?
V幅は、V=6x1.5=9.0 → 直近上位のV=10 とする
圧力表より、t1.5とV=10 の交点から F=230kN/m
P=230kN/mx2m=460kN ※①
ステンレスの圧力表がない場合(軟鋼鈑の圧力表はある)
V幅は、V=6x1.5=9.0 → 直近上位のV=10 とする
圧力表より、t1.6とV=10 の交点から F=170kN/m
P=170kN/mx(1.5㎜÷1.6㎜)2x(60N/㎟÷45N/㎟)x2m≒400kN ※②
※圧力表の引張強さに幅があるので、※①と※②は異なります。
●各種材料の引張強さ
まとめ
圧力Pは計算でも算出できますが、容易に見ることができる圧力表を利用しましょう。
Pとt、L、σb の関係が重要です。
P=C・σb・L・t2/V・1000
加圧力 P は、板厚 t の二乗に比例する
加圧力 P は、長さ L に比例する
加圧力 P は、引張強さ σb に比例する
参考文献
曲げ金型ABC アマダ板金加工研究会
アマダホームページ(金型ワールド)