屋根材や外壁材の用途として、ガルバリウム鋼板の需要が増えています。
鋼材が腐食する条件を考慮して、施工・使用すると長期の耐久性を維持できます。
配電盤類の用途とは少し異なりますが、施工・使用の参考にしてください。
ガルバリウム鋼鈑の耐久性に必要な条件を説明します。
ガルバリウム鋼鈑
海岸からの距離 と ガルバリウム鋼鈑の腐食速度
●海岸からの距離と腐食速度比較を図に示します。
GI:溶融亜鉛めっき鋼板
GL:ガルバニウム鋼板 溶融55%アルミ-亜鉛合金めっき鋼板
<GLガルバリウム鋼鈑の寿命>
・ガルバリウム鋼鈑の腐食速度は、従来の溶融亜鉛めっき鋼鈑と比べると極めて遅い
・海岸から1kmほどに設置した際、腐食速度は約0.4μm/年、めっき厚20μmとした場合、
めっきの90%腐食消失するには約45年かかります。
・一般環境で雨水が滞留しない通常の環境、施工の場合、20年経過後も十分な耐久性を有します。
・以下の場合、変色・腐食が進行します。
雨水が滞留する場合。
塵埃、金属粉等の固形物が存在する場合。(通行量の多い道路から塵埃が飛来して堆積)
水蒸気、腐食性ガスが存在する場合。(煙突近傍は腐食性ガスによる影響で変色・腐食が進行)
もらい錆(鉄くぎ等)により腐食が進行するのような場合。
汚れが雨に流されず、存在する場合。
屋根の勾配 と ガルバリウム鋼鈑の腐食
●ガルバニウム鋼板の暴露角度と設置後の腐食量を示します。
・屋根勾配が緩い場合、腐食量は大きくなります。 (水平の腐食量>30°>60°>90°)
・垂直に対して水平の腐食量は、約2倍となります。 (水平の腐食量 8.4 > 90° 4.0)
板の取付角度が30°でもあると、雨水が暴露材表面を洗い流しすので腐食量が少なくなります。
・風で飛来した塵埃が屋根面に堆積することがあります。
屋根面に少しの凸凹でもあると、塵埃と水が一緒に存在して土中と同様な腐食が進行します。
土中の腐食速度は約4.7μmとされ、大気中の0.4μmと比べて12倍大きくなります。
したがって、堆積物がある部分(=土中)のめっき寿命は4年ほどになります。
まとめ
ガルバリウム鋼板製屋根の耐久性について
1. 通常状態で40年以上の耐久性が推測されます。
2. 土埃の堆積した部分の腐食速度は、約10倍以上大きくなる場合があります。
3. 耐久性向上のため屋根勾配を大きくし、土挨などの固形物や水溜りが生じないようにします。
配電盤類でも同様に、堆積物が蓄積しないよう屋根の勾配を大きくとる工夫。
盤類の取付け架材も堆積物が溜まらず、雨水が汚れを洗い流すような工夫が大切です。
以上 最後まで見ていただき、ありがとうございました。
参考資料
「ガルバリウム鋼鈑製屋根の長期耐久性条件について」JFE鋼鈑株式会社