配電盤類の塗装色は、マンセル値でなく「日塗工」の色番号で指示いただく様にしています。
また、「つや」は「全つや」「5分つや」「7分つや」を指定いただく場合もありますが、
JISに規定された60度鏡面光沢度(グロス)で再指示をいただいています。
「〇分つや」は、明確な基準がありません。
60度鏡面光沢度(グロス)指示は、塗装部門に仕様を明確に伝達できます。
納入時も測定結果を提示できるので、不要なトラブルを避けることができます。
「つや」は数値で指示いただきましょう。
自社と他社の筐体を並べて設置した際、つやが異なる問題が生じたことがありました。
「〇分つや」と指示を受けましたが、自社と他社との光沢度の基準の違いが原因でした。
塗料メーカーが異なると「〇分つや」と「グロス」の関係も異なることがあります。
鏡面光沢度とは
●光源から塗装面に規定の角度(60°)で光束を当て、反射光の受光量を測定します。
規定された標準面の反射光束を100とし、反射光束の比率で表したものが鏡面光沢度です。
表面が平滑な場合は、反射光が多く光沢度が高くなります。
表面が凸凹の場合は、反射時に光が拡散し反射光が少なく光沢度が低くなります。
●「JIS Z 8741 鏡面光沢度-測定方法」に規定されています。
入射角は75°、60°、45°、20°の種類はありますが、塗装面の測定は60°が一般的です。
測定結果は、Gs(60°)=60% と表します。
現状の「〇分つや」
●現在使用される「〇分つや」は、3種類あります。
つや有を70グロス以上、5分つや(半つや)を35グロス とした・・・・①方式
5分つやを50グロス とした ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・②方式
(自然乾燥塗料、強制乾燥塗料は∔5グロス上げています)
「・・・・分消」 と表した ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・③方式
項目 | ①方式 建築用の採用 が多い | ②方式 焼付塗料 | ②方式 自然乾燥塗料 強制乾燥塗料 | ③方式 |
測定方法 | 60度鏡面光沢度 (グロス) | 60度鏡面光沢度 (グロス) | 60度鏡面光沢度 (グロス) | - |
つや有 | 70以上 | 80以上 | - | - |
7分つや | 60±5 | 70±5 | 75±5 | 3分消 |
5分つや(半艶) | 35±5 | 50±5 | 55±5 | 半艶消 |
3分つや | 15±5 | 30±5 | 35±5 | 7分消 |
つや消 | 5以下 | 5~10 | 8~15 | 全艶消し |
「〇分つや」の経緯
●1985年12月に日本塗料工業会より基準案が提出されましたが、現在規格化されていません。
当時の基準案は以下の表の通りです。
また、この案に従ったのが、上記の①方式です。
つやの一般呼称 | 業界統一基準 60℃鏡面光沢度 | 備考 |
つや有り | 70以上 | JIS K 5516の関係上 |
7分つや | 60±5 | 7分つや有りを示す |
5分つや | 35±5 | 5分つや有りを示す |
3分つや | 15±5 | 3分つや有りを示す |
つやなし | 5以下 |
●配電盤・制御盤の規格(JEM1135、JEM1387)は、色彩5Y7/1と光沢も指定されています。
屋内用の盤表面の塗装光沢(つや)は、半つやを標準とする。
その鏡面光沢度は、40%を標準とする。ただし、許容範囲は20%~60%とする
光沢と艶消し剤
●塗料は、平面が平滑な「つや有り」が基本です。
平滑な表面は、正反射光が強く光沢度が高くなります。
つやを低くする場合、塗料の中に艶消し剤を入れて、塗膜表面を凸凹にします。
凸凹な表面は、光を拡散させて正反射光が弱く、光沢度が低くなります。
●つやつやの表面をサンドペーパーでこすると表面がざらざらになり「つや」が落ちます。
これと同じで、表面を凸凹にして反射光を拡散させると「つや」が落ちます。
●光沢を低くするメリット
高級感のある落ち着いた外観がよい。
「つや消し」は初期のつやが低いので、劣化しても変化が目立ちにくい。
「つや有り」の初期はテカテカなので、若干光沢が落ちただけでも目立ちます。
●光沢が低いと生じるデメリット
つや消し剤の投入量が多い分、塗料の樹脂成分の比率が減少し塗料の性能が落ちます。
また、艶消し剤を入れるほど塗料単価は上昇します。
まとめ
●お客様との「つや」のやり取りは、鏡面光沢度(数値)で行いましょう。
●つや消し剤は、塗装表面を凸凹にして正反射光を弱くして、つやを低くします。
●つや消し材は入れすぎると塗膜性能を低下させ、塗料単価を上昇させます。
以上 最後まで見ていただいてありがとうございました。