今まで図面に無縁だったのに、製図しなければならない。
先輩は忙しくて教育してくれない。
会社にある図面をまねて製図しているが、書き方がわからない。
そんな方は、JISの製図規定を学んでください。製図力アップにきっと役立ちます。
今回は、JIS B 0001 機械製図「10.2 断面図」を説明します。
断面図の概要
・対象物の隠れた部分をわかりやすく示すために断面図を使用します。
断面図は、対象物を切断したと仮定して、切断面の手前の部分を切り取って表します。
・切断したために理解できなくなるもの、切断しても意味のないものは 切断しません。
<例> リブ,アーム,歯車の歯,軸,ピン,ボルト,ナット,座金,小ねじ,
リベット,キー,玉(鋼球球など),ころ(円筒ころ,円すいころなど)
・切断面の指示は、両端及び切断方向の変わる部分を太くした細い一点鎖線を用いて指示します。
投影方向を示す場合は、細い一点鎖線の両端に投影方向を示す矢印を描きます。
切断面を識別する場合は、矢印によって投影方向を示します。
参照する断面の識別記号は、矢印の端に記入します。
断面の識別記号(例えば,A−A)は、断面図の直上又は直下に示します。
・断面の切り口を示すため、ハッチングを施します。
ハッチングは、細い実線で主たる中心線に対して45°に施します。
同じ切断面上に現れる同一部品の切り口は、同一のハッチングを施します。
隣接する切り口のハッチングは、線の向き、角度、又はその間隔を変えて区別します。
切り口の面積が広い場合は、その外形線に沿って適当な範囲にハッチングを施します。
階段状の切断面の各段を区別する場合は、ハッチングをずらしてもかまいません。
ハッチングを施すべき部分に文字,記号などを記入する場合は、ハッチングを中断します。
全断面図とは
・対象物の形状を最もよく表す対称な図形の中心線にて一直線に切断した断面図です。
切断線は記入しません。
・必要がある場合は、中心線でなく特定部分の形をよく表す切断面を設定して描きます。
切断線によって切断位置を示します。
片側断面図とは
対称形の物は、外形図の半分と全断面図の半分とを組み合わせてもかまいません。
切断線は記入しません。
部分断面図とは
要所の一部だけを部分断面図として表すことができます。破断線によってその境界を示します。
回転図示断面図
長い品物や断面が徐々に変化する品物(ハンドル,車輪などのアーム及びリム,リブ,フック,軸,構造物)の切り口は90°回転して表します。
例1. 断面箇所の前後を破断して、その間に描きます。
例2. 切断線の延長線上に描きます。
例3. 図形内の切断箇所に重ね、細い実線を用いて描きます。
組合せによる断面図
二つ以上の切断面による断面図示は、断面を見る方向を示す矢印と大文字の文字記号を付けます。
例1. 対称形の場合は中心線を境に片側を切断し,他の側を投影面と角度をもって切断できます。
その切断面は、その角度だけ投影面の方に回転移動して図示します。
例2. 二つ以上の平面で切断した断面図を合成できます。
切断線によって切断位置を示し、切断線をつないで組合せ断面を示します。
例3. 曲管の断面は、その曲管の中心線に沿って切断し投影できます。
多数の断面図による図示
例1. 複雑な形状の対象物を表すには、必要に応じて多数の断面図を描くことができます。
例2. 一連の断面図は、寸法及び断面を理解し易いように投影の向きを合わせて描きます。
断面図は、切断線の延長線上又は主中心線上に配置します。
まとめ
図面は、仕様を正確に相手に伝達する手段です。見易さ・正確さを主眼に製図しましょう。
対象物の隠れた部分を最も明瞭に示すため断面図を使用してください。
参考:JIS B 0001機械製図より 「10 .2 断面図の表し方」