今まで図面に無縁だったのに、製図しなければならない。
先輩は忙しくて教育してくれない。
会社にある図面をまねて製図しているが、書き方がわからない。
そんな方は、JISの製図規定を学んでください。製図力アップにきっと役立ちます。
今回は、JIS B 0001 機械製図「10.1 投影図の表し方」の作図注意点を説明します。
投影図の概要
a)対象物の情報を最も明瞭に示す投影図を、主投影図又は正面図とします。
主投影図を主とし、それを補足する投影図を表して。対象物を過不足なく表現します。
主投影図は形状、機能を最も表す面を選びます。
一般に自動車を正面から見た図はAですが、対象物を最も明瞭に表す面はBです。
従って、主投影図はBになります。
b) 他の投影図が必要な場合は,曖昧さがないように,対象物を規定するのに
必要かつ十分な投影図 及び 断面図の数 とします。
c) できる限り、かくれ線を表す必要のない投影図を選びます。
主投影図とは
a)主投影図として、対象物の形状・機能を最も明瞭に表す投影図を描きます。
1)組立図など、主として機能を表す図面では、対象物を使用する状態
2)部品図など、加工のための図面では、図面を最も多く利用する工程で対象物を置いた状態。
3)特別な理由がない場合には、対象物を横長に置いた状態。
対象物を旋盤に取付けた状態、および、フライス加工の工具動きが見易い図を選択した例です。
b) 主投影図を補足する他の投影図はできる限り少なくします。
主投影図だけで表せるものは,他の投影図は描かきません。
図形の数は最小限にすることが必要です。
作図時間の短縮と共に図面の見誤りを防ぐためです。
c) 互いに関連する図の配置は、なるべくかくれ線を用いなくてもよいように示します。
ただし比較対象することが不便になる場合には、この限りではありません。
補助投影図、部分投影図、局部投影図とは
a)補助投影図
対象物の斜面を図示する場合には、その斜面に対向する位置に補助投影図として表します。
必要な部分だけを部分投影図又は局部投影図で描いてもかまいません。
b)部分投影図
図の一部だけで理解できる場合には、必要部分だけを部分投影図として表します。
この場合には、省いた部分との境界線を破断線で示します。
ただし、明瞭な場合には破断線を省略してもかまいません。
c)局部投影図
対象物の穴、溝など一局部だけの形を図示すれば理解できる場合に、必要部分を
局部投影図として表します。
投影関係は、主となる図に中心線、基準線、寸法補助線などで結び付けて示します。
補助投影図、部分投影図、局部投影図 の選択は、どの部分を表したいかにより行ってください。
まとめ
図面は、仕様を正確に相手に伝達する手段です。見易さ・正確さを主眼に製図しましょう。
・ 対象物の情報を最も明瞭に示す投影図を主投影図又は正面図にしてください。
・ 曖昧さがないように完全に対象物を規定するのに必要かつ十分な投影図及び断面図の数とする。
・ できる限り、かくれ線を表す必要のない投影線を選ぶ。
参考:JIS B 0001機械製図より 「10 .1 投影図の表し方」