「ねじ」は小さくて安価な部品ですが、無いと製品を組立できないとても大切な部品です。
設計では「ねじ」の ①ねじ径、②ねじ種類、③ねじの長さ を選定します。
では、どんな「ねじ」を使用したらいいでしょうか🤔?
ここでは 信頼性の高い製品を設計するための「ねじ」選定の注意点を解説します。
初級~中級の板金設計者の方に情報提供をします。設計の一助になれば幸いです。
ねじの呼び径・・・ねじへの応力は保証荷重以下に!
●ねじの呼び径は、ねじに加わる応力が保障荷重応力以下になるように選定します。
市販の鋼製おねじ部品のねじ強度区分は、4.8以上がほとんどです。
ねじの強度区分を指定するか?使用するねじの強度区分がわからなければ4.8で考えるとよいです。
●鋼製ねじ強度区分4.8とは、呼び引張強さ 400N/m㎡、呼び下降伏点 320N/m㎡(400×0.8)
および保障荷重応力 310N/m㎡です。
「表1 ねじの呼びと保証荷重(強度区分4.8)」を参照してください。
呼び | 有効断面積 m㎡ | 保証荷重 N | ピッチ mm |
M3 | 5.0 | 1,560 | 0.5 |
M4 | 8.8 | 2,720 | 0.7 |
M5 | 14.2 | 4,400 | 0.8 |
M6 | 20.1 | 6,230 | 1.0 |
M8 | 36.6 | 11,400 | 1.25 |
M10 | 58.0 | 18,000 | 1.5 |
M12 | 84.3 | 26,100 | 1.75 |
M16 | 157.0 | 48,700 | 2.0 |
●ステンレス鋼(SUS304)ねじの強度区分は70が一般的です。
ねじ強度区分70とは、引張強さ最小700N/m㎡、永久伸び0.2%耐力最小410N/m㎡ です。
ねじの種類・・・目的に合致した選定を!
2-1 ねじの種類・・・目的に適する材質・表面処理、頭部形状、ピッチを選定する。
2-2 表面処理・・・・屋内用は、クロメート処理(電気亜鉛めっき)、
屋外用は、SUS304、鋼+溶融亜鉛メッキ の使用が多い。
意匠に配慮して黒色やクロムめっきも選ばれます。
2-3 頭部形状・・・・呼びM6以下・・・ドライバーで締める十字穴付小ねじの選定が多い
締め付け時のねじバカ防止に―ねじも選ばれます。
呼びM8以上・・・レンチで締め付ける6角、6角穴付の選定が多い
外観は「図2 ねじの形状」を参照してください。
2-4 ねじピッチ ・・・流通している安価な並目ねじを使用する。ピッチは 表1 を参照してください。
設置場所 | 屋内用 | 屋外用 |
材質と表面処理 | 鋼+黒色酸化被膜 鋼+クロメートめっき 鋼+ユニクロめっき 鋼+亜鉛黒 鋼+クロムめっき | SUS304 SUS316 鋼+溶融亜鉛めっき |
ねじの長さ・・・はめ合い長さ+あそび長さ(3山以上)
●ねじの長さは?
ねじの長さ=はめ合い長さ+あそび長さ
3-1 はめ合い長さ・・・0.6d以上(d:ねじの呼び)を目安に選定してください。
高さが0.8d以上のナットは(完全ネジ部は0.6d以上)ボルトの強度区分と同等になります。
電気機器では、2山以上作用していればよい場合があります。
ただし、呼び径が8mm以上は作用している部分が呼び径の40%以上とします。
3-2 あそび長さ・・・・貫通後、3山以上のねじ飛出しを目安に選定してください。
例)M5の場合、0.8(ピッチ)×3(山数)=2.4以上の飛出し必要です。
代表的なねじ寸法と形状
参考 ねじの名称
まとめ
ねじは、以下の3点に注意して選定してください。
①ねじ径・・・・保証荷重応力以下になる様選定する。強度区分4.8はコストが安く調達容易。
②ねじ材質・・・表面処理及び形状は、使用する環境、目的に合わせて選定する。
③ねじ長さ・・・はめ合い長さ+3山以上とする。
参考文献
JIS B 1051 炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質
JIS B 1054 耐食ステンレス鋼製締結用部品の機械的性質
東京鋲螺共同組合発行 ねじ総合カタログ
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