配電盤類では、十字穴付き小ねじを充電部、外郭、部品の締結目的で使用します。
配電盤類で使用する種類、頭部寸法、保証荷重、選定例 について説明します。
十字穴付き小ねじ の概要
●配電盤類で使用する十字穴付きの小ねじ径は、M3~M8です。
呼び径とピッチは、表1の通りです。


●材質は、鋼・ステンレス・黄銅があり、ヘッダにより線材から冷間圧造で製造します。
材質別の強度区分と引張強度は、表2の通りです。

●ねじの呼び方は、名称、呼び径、呼び長さを並べて表します。
例 十字穴付きなべ小ねじM5x10
頭部形状 の種類・特徴・用途
●十字穴付き小ねじの頭部形状は、なべ・皿・丸皿・トラス・バインドの5種類あります。
特徴と用途を表3に示します。
表3.小ねじの種類・特徴・用途

頭部形状寸法 と 首下寸法
●配電盤に使用する 小ねじの頭部形状・寸法は表4、表5の通りです。
径が太くなると、締付トルクも大きくなります。
工場ラインの電動ドライバーで締付けするねじ径は~M5までが多いです。
首下長さは、5~50mm程度が流通しています。
表4.ねじの頭部形状寸法

表5.ねじの首下寸法L

鋼製小ねじの保証荷重
鋼製小ねじの保証荷重の強度区分は、4.8とします。
せん断荷重は、ボルト保証荷重の60~70%と見積もります。
表6.鋼製小ねじの保証荷重

十字穴付き小ねじ の選定
ねじは、対象製品ごとにねじ部品の種類・サイズを標準化し使用する種類を最小限にします。すると管理する部分が減少しコスト削減できます。
JIS規格の市販品を使用します。市販品は入手が容易で価格も安く、品質も安定しています。
●ねじ頭部形状の選定例
1)外観を重視せず、特に指定がない →なべ小ねじ を選定します。
2)ねじ頭を鋼板表面に出さない →皿小ねじ、丸皿小ねじ を選定します。
3)座ぐり加工を行わず外観も考慮する→トラス小ねじ、バインド小ねじ を選定します。
4)十字穴がなめにくい →なべ小ねじ、バインド小ねじ を選定します。
5)樹脂部品の凹みを防止したい →トラス小ねじ、バインド小ねじ を選定します。
※ねじ圧力は座面面積に反比例し、トラス/なべ=約50%、バインド/なべ=約66%です。
●ねじ径の選定例
1)ねじの保証荷重が、使用荷重より大きくなるよう、ねじ径・本数を設定します。
2)着脱の多いねじは、作業性向上のため、M5以下として種類も減らします。
3)M6以上はドライバーでの締付不良対策やゆるめ止めを確実にするために六角ボルトを使用します。
●ねじの長さの設定
1)ねじの長さ=はめ合い長さ+あそび長さ
はめ合い長さ・・・0.6d以上(d:ねじの呼び)を目安に選定してください。
あそび長さ・・・・貫通後、3山以上のねじ飛出しを目安に選定してください。
例)M5の場合、0.8(ピッチ)×3(山数)=2.4以上の飛出し必要です。
2)ねじ込み長さ及びナットからの突き出し量を必用以上に長くしません。
表7.ねじの長さ

参考書籍
ねじ総合カタログ 東京鋲螺協同組合
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