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ステンレス製配電盤類🐯錆びの原因と錆びない配慮

材料

ステンレスは錆にくい材料ですが、錆びないわけではありません。
ステンレスは表面にクロムと酸素が結合した不動態被膜を形成して錆びを防いでいます。
錆びは、何らかの原因で不動態被膜が破壊され、不動態再生できない時に発生します。

ここでは、錆びの発生原因錆びない配慮について説明します。

錆びの原因

不動態被膜を破壊する主な原因は、塩素イオン硫黄酸化物の付着です。
また、粉塵や鉄粉の付着堆積も結露し錆びの原因になります。

錆びないための 設計上の配慮

1.環境に合わせた鋼種を選定する。
・田園地域、都市部、工業地域、海浜地域の地域に合わせた鋼種を選定します。
・雨水が掛かる部分は、雨水に洗浄されるので 錆に対し比較的良い条件です。
・雨水が掛からない場合、塗装を施すか、さらに高耐食性の材料の使用を推奨します。

2.雨水の溜まらない構造とする
・凹又は平面で雨水が溜まるような形状は避けます。
・水抜きを設け、排水が良い構造とします。
・清掃が容易な単純で水切りが良い形状とします。
・表面に、雨水の溜まりとならないようにボルトや金具を極力設けない
・雨水の跳ね返りがしない汚れが付着しにくい形状とします。
・接合部のボルト・リベットは塗装したステンレス製を使用する

錆びないための 加工上の配慮

1. ステンレス専用工具を使用する。(特にせん断加工について)
 鉄板を加工した工具には、鉄粉が付着します。
 工具に付着した鉄粉がステンレス材料に移り「もらい錆」を発生させます。

 タレパン金型の切断面にも鉄粉が付着します。タレパン金型はステンレス専用としましよう。
 シャーリングも鉄粉が付着します。加工前に刃を十分に洗浄するか、専用としましょう。
 工具を鉄用、ステン用と区分して、ステンレス材料は専用工具で加工します。

2.フェライト系ステンしス(SUS430)を溶接する時は、汚れや油分を削除する
 汚れや油分が付着したまま溶接すると錆び易くなります。

3.フェライト系ステンしス(SUS430)を溶接する際は、裏面もアルゴンガスでシールドする
 空気中の窒素が、溶け込んでクロムと結びつき、金属クロム濃度が低下します。
 濃度低下は耐食性を低下させます。
 耐食性低下を防ぐため裏面もアルゴンガスでシールドします。

4.溶接後の焼けを除去する
 焼けは、ステンレス表面への酸素の供給を妨げ、不動態被膜再生を妨げます。
 溶接スケール直下の表面は、クロム酸濃度が低下し錆びが発生し易くなります。
 グラインダー酸洗い及び電解研磨などの方法でやけを除去します。

5.顔料入りの塗料で塗装する
 ステンレスを生地のままで屋外に設置すると錆びるので、塗装をお勧めします。
 設置した直後のヘアラインや鏡面仕上げは、外観はすばらしいですが、間もなく変色や
 もらい錆が生じます。
 クリアー塗装は、膜厚を厚くできず、顔料が入っていないので密着性が悪いです。
 以上より、クリームやベージュ等顔料の入った塗装を推奨します。
 

まとめ

ユーザーは、配電盤の錆びを嫌うため、高価なステンレス製を採用し、錆に注目しています。
ユーザーの期待に応えられるよう「錆び対策に配慮した」配電盤を設計・製造しましょう

最後までお読みいただき ありがとうございます。

 参考文献 「ステンレス建材のメンテナンス」 発行:ステンレス協会

ガオ

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初級設計者の一助になれば幸いです。

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材料金属
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