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熱設計2🐯白色は温度が上がりにくい?

熱設計

「日射の影響を受け難くするために、明度が高い白色やクリーム色を使用する。」
「遮熱塗料といわれる高反射塗料より白色への色変更の効果が高い。」
 ことを実験と文献から説明します。

機器の動きが悪い。停止した。壊れた。通信機器がダウンした・・・・。
汗が滴り落ちる夏に 緊急の修理依頼やらクレームが来ることはありませんか?
屋外設置の制御盤が、異常な温度上昇することがあります。

日射を受けて筐体温度が上昇し、内部機器の許容温度を超えてしまうのが原因です。
機器が機能停止になって困る前に、真夏に走り回らないために 対策が必要です。
空冷、水冷の冷却機器を取付ける対策もありますが、色変更で比較的安価に
対応できる場合もあります。

初級~中級の筐体設計者の方に情報提供をします。設計の一助になれば幸いです。

実験より・・・明度が低くて暗いほど筐体温度は上昇する。      「材質」より「明度差」による温度変化が大きい。

●種々の筐体を屋外に設置してその温度変化を測定します。

1-1 実験方法
 ・筐体を南向きに向けて設置し筐体内の温度(筐体天井裏面)を測定する。
 ・筐体の寸法は横400mm×縦500mm×深さ200mm
 ・筐体の種類は、鋼板製(クリーム色、ベージュ色、ブラウン色)
         樹脂製(クリーム色、グレー色)

1-2 測定結果 <実測値>
 低温     ⇒     ⇒     ⇒     ⇒   高温
   38℃     41℃     51℃    57℃    59℃
   樹脂製    鋼鈑製    鋼鈑製    樹脂製   鋼鈑製
   クリーム色  クリーム色  ベージュ色  グレー色  ブラウン色
   明度9     明度9     明度7    明度2    明度2

  ※測定場所の外気温度は40℃
  ※明度とは?
   色の三属性(色相・彩度・明度)のうちのひとつ。物体の明るさを表す。
   反射率100%の白色の面の明度を10として,0〜10の数値で表示される。
   無彩色は明度だけをもち,黒〜灰〜白の順で明度が高くなる。

1-3 実験結果
(1)日射により筐体の表面温度は60℃近く、内部温度も55℃まで上昇した。
(2)筐体の天井裏面温度は、明度の低いものほど高くなった。
(3)「材質差」より「明度差による温度変化が大きく見られた。

文献より・・・明度が高くて明るいと日射を反射する。       明度が低くて暗いほど筐体温度は上昇する。

図1 環境省 平成20年度環境技術実証事業 ヒートアイランド対策技術分野
(建築物外皮による空調負荷低減技術)実証試験報告書 より
 黒色  灰色 ベージュ色クリーム色 白色 
明度2.66.07.09.09.8
反射率4%25%37%70%85%
表1 一般塗料の明度と日射反射率

<実証試験報告書より>
日射光は紫外線,可視光線,近赤外線からなり可視光線域のエネルギーが約半分を占める。
明度が高くなるほど(白くなるほど)可視光線のエネルギーを多く反射し、日射反射率が高くなる。
一般的に白色は、近赤外線の反射率も高くなる。
近赤外線域も反射するために日射反射率がより高くなる。
明度が低くて暗いほど日射のエネルギーを受ける。(筐体温度は上昇する。)

まとめ

日射の影響を受け難くするには、明度が高い白色、クリーム色を使用する。
明度を高くして日射エネルギーを反射する。

参考 建築物への展開

屋根や外壁に遮熱塗料高日射反射率塗料を塗装して、断熱効果を上げ空調コストを下げるとか、省エネ、地球環境にやさしいとかPRしていますが、白色に塗り替えた方がより大きな効果が得られます

明度Vが10に近い白色は、図1のように一般塗料と高反射塗料との日射反射率の差がありません
明度V=6(灰色)の場合,日射反射率25% ⇒ 明度V=9(クリーム色)の場合,日射反射率は70%
灰色/黒色では明らかな差が見られます。
よって、一般塗料で白色に塗装した方が効果が得られ、色変更不可の場合に高反射率塗料の効果が得られます。

市販の塗料でも白色に塗り替えた方がより大きな効果が得られます。
明度の高い色への変更により、空調のコストダウン、省エネ、地球環境改善 に貢献しましょう。

参考文献:環境省 平成20年度環境技術実証事業 ヒートアイランド対策技術分野
      (建築物外皮による空調負荷低減技術)実証試験報告書

最後まで見ていただき ありがとうございました。

ガオ

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初級設計者の一助になれば幸いです。

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