配電盤類の筐体で形鋼を使用する場合があります。
配電盤類で使用する形鋼は、平鋼、山形鋼(アングル)、溝形鋼(チャンネル)が多いです。
用途、形鋼の寸法と市場性、強度等を紹介します。
形鋼の用途
形鋼には、熱間圧延で製造される重量形鋼と鋼板を曲げて製造する軽量形鋼があります。
配電盤類の筐体には、重量形鋼のうち平鋼、山形鋼、溝形鋼を使用します。

≪平鋼≫
平鋼は、FB、フラットバーとも呼ばれます。
用途例1)筐体の剛性を高めるため、平鋼を背面内側に溶接します。
用途例2)パネル取付け用に、平鋼にボスやボルトを溶接して筐体背面に配置します。
≪山形鋼≫
山形鋼は、Lアングルとも呼び、等辺山形鋼、不等辺山形鋼、不等辺不等厚山形鋼
の3種類あります。
用途例1)薄板筐体の補強として、間口の内側に等辺山形鋼を枠状に配置します。
用途例2)筐体の骨組みとして、等辺山形鋼を溶接組して使用します。
≪溝形鋼≫
溝形鋼は、チャンネルとも呼ばれ、曲げ強度が高く比較的安価な材料です。
筐体のチャンネルベースと呼ばれる架台として使用します。
チャンネルベースは、筐体を支え、耐震強度に対応し、設置時のレベル調整を行い、
盤と基礎を連結する重要な部品です。
形鋼のメリット
1.工程削減できます
同じ断面積の部材を製作する場合、切断及びプレス打抜きすれば部品が完成します。
外形抜き、曲げ等の工程、加工時間が削減できます。
2.歩留まり向上
断面形状がそのまま利用でき、材料を無駄なく使用でき、歩留まりが向上します。
形鋼の採用検討
1.板厚を検討します。
・t3.2以下はタレパンで加工可能である。⇒ 板材の製作可能性を検討する。
・t4.5以上ならレーザー加工となる。 ⇒ 形鋼の可能性を検討する。
2.追加工コストを検討します。
・形鋼と板材との材料費(板材の歩留まり、板材の外形抜き+曲げ)を比較する。
・形鋼(アイアンワーカーによる孔加工、切り欠き)と板材(タレパン、レーザー)との
加工費を比較する。
3.自分の設計に適合する市販の形鋼を選択します。
・適切な形鋼がないが使用量が多い場合は、専用に製作することを検討する。
(丸棒への孔明けを、パイプに変更してコストダウンした実例があります。)

形鋼の市場性
●平鋼の寸法と市場性
一般構造用圧延鋼材(JISG3101)のSS系の平鋼は、SS400のみ市場性があります。
機械構造用炭素鋼鋼材SC系は、S50Cのみ流通しています。
建築構造用圧延鋼材SN系は、市場性が無く注文製作対応です。
●等辺山形鋼、溝形鋼は熱間圧延鋼で、SS400が一般的です。



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