配電盤類の塗装において一番錆び易い場所は、雨水が溜まる部分と扉や本体の鋼鈑端面です。
鋼板端面は、塗料の厚みが平坦部に比べて極端に薄くなります。
塗料の性能は塗膜厚みに比例しますので、極端に薄い箇所では本来の性能が発揮されず、錆び・クラックなど不具合が発生します。
この鋼鈑端面(エッジ)の塗装のことを「エッジカバー」と呼びます。
配電盤類の上塗り塗装は、ポリエステル樹脂系粉体塗料が多く用いられますが、一般グレードは、鋼鈑端面(エッジ)をカバーする効果が少ないです。
屋内使用では問題ありませんが、屋外使用では錆び・クラックが生じる場合もあります。
エッジカバータイプを使用すると、膜厚を厚くできるので防錆性を向上することができます。
屋外使用される配電盤類には、防錆力が高い「エッジカバータイプ」の採用をお勧めします。
ここでは「エッジカバータイプ」を説明します。
鋼板の端面(エッジ)の防錆力を高める方法
●鋼板端面の防錆力を向上には、エッジの塗膜厚の確保が必要で、以下の方法が考えられます。
1.重ね塗りする。
塗り回数を増して、エッジの塗膜厚を増やします。
平面部の膜厚も厚くなります。
2.エッジをR面にする。
端面にR加工すれば、塗料焼付時に塗膜の表面張力を小さくでき塗膜厚を増やせます。
プレス抜きの場合は、バリ面を加工し、ダレ面はそのまま利用します。
R面又はC面へのエッジ加工は、手間が掛りとても難しい作業です。
3.エッジカバータイプの塗料を使用します。
板金加工は従来通り、塗装工程も従来通りの下塗り・上塗りで対応可能です。
エッジカバータイプの粉体塗料
●エッジ部の問題点
粉体塗料を塗布した時点では、エッジ部にも粉体塗料が付着します。
焼付すると粉体塗料が溶融し、表面張力で塗膜が引っ張られエッジから塗料が逃げます。
焼付後、エッジ部の塗膜は薄くなり、十分な塗膜性能を得られません。
●エッジカバータイプの塗料
粉体塗料にエッジカバー性を付与します。
塗料の表面張力を低減し、内部応力を緩和し、高粘度化し塗膜の伸びを抑えます。
塗料の粘度が高くなるので、平面の平滑性が低下してユズ肌になり易くなります。
まとめ
屋内設置する配電盤類の塗装は、汎用グレードで良いかもしれません。
しかし、屋外設置では、錆びは平面部より、膜厚が薄い板金のエッジに生じ易いです。
防錆性は、納入後発錆した期間で評価されますので、錆び易い端面の防錆力を向上させた方が良いと思います。
防錆力向上のために「エッジカバータイプ」の採用をお勧めします。