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配電盤類の塗装🐯ポリエステル樹脂系粉体塗料の耐候性グレード

塗装

配電盤類に使用されるポリエステル樹脂系粉体塗料は、グレードによって耐候性が異なります。
従来の配電盤類は、目立たない場所に設置するので、汎用グレードで問題ありません
人目につく場所に設置するには、高耐候性グレード超高耐候性グレードの採用が必要です。

ここでは、ポリエステル樹脂系粉体塗料の
 「汎用グレード」 「高耐候性グレード」「超高耐候性グレード」を説明します。

配電盤の塗料は、汎用グレードで問題ありません

ポリエステル樹脂系粉体塗料は、硬度・耐候性・耐食性・耐薬品性にも優れた塗料です。
配電盤、分電盤、及び制御盤も、上塗り塗料にポリエステル樹脂系粉体塗料を多用しています。
他にも、フェンスなどの外部用建材・エアコン室外機など非常に広く使われています。

屋外に配電盤類を設置する場合、配電盤類の表面に日射があたるので、塗装の光沢度色差
変化(耐候性)に影響します。
配電盤類の塗装の耐候性基準(JSIA-T1020参照)は、
耐候性促進試験240時間後、光沢保持率70%、色差⊿E=4以下です。
耐候性は塗料の種類で大きく異なり、そのグレードでも変わりますが、
配電盤の耐候性は、ポリエステル樹脂系粉体塗料の汎用グレードを使用すれば基準を満足します。
従来、配電盤類は、目立たない場所に設置してきたので、汎用グレードの塗料で問題ありません。

EV用充電設備は、高耐候性グレード又は超高耐候性グレードが必要です

最近、EV用充電設備等、自動販売機と同様に人が関わる盤が増えてきています。
外観劣化が人の目に付きやすいので、お客様から盤の耐候性向上を求められます。
従来のポリエステル樹脂系粉体塗料汎用グレードでは、耐候性向上の要求に応えられません。
粉体塗料は少量生産できないので、さらにアクリル樹脂塗装を施して耐候性を向上させ対応します。

ポリエステル樹脂系粉体塗料の良さを活かして耐候性を向上させるには、高耐候性グレード又は超高耐候性グレードの採用検討が必要です。

グレードが変わると、光沢保持率・色差が変わります(ホワイト)

配電盤類に使用されるポリエステル樹脂系粉体塗料
汎用グレードは、   光沢保持率70%(400時間)
高耐候性グレードは、 光沢保持率90%(400時間) アクリル粉体塗料と同程度の耐候性を示す
超高耐候性グレードは、光沢保持率95%(400時間) 低下少なく光沢保持率90%(1000時間)を示す

※数値はある塗料の実測値です。

配電盤類に使用されるポリエステル樹脂系粉体塗料
汎用グレードは、   色差⊿E=1.2(400時間)
高耐候性グレードは、 色差⊿E=0.5(400時間) アクリル粉体塗料と同程度の耐候性を示す
超高耐候性グレードは、色差⊿E=0.2(400時間) ほとんど変化なし⊿E=0.4(1000時間)を示す

※数値はある塗料の実測値です。

汎用グレードは、劣化が早い(汎用6色)

ポリエステル粉体塗料の耐候性能は、基材樹脂だけで決まりません。
顔料成分も耐候性能を左右する大きな因子です。
光沢保持率は、濃彩色よりホワイト淡彩色の方が高いです。
汎用のポリエステル粉体塗料は、変退色も少なく優れた傾向を示します。
ホワイト系で2~3年、濃彩色で1~2年を経ると光沢低下や変退色が目立つ様になります。

配電盤類に使用されるポリエステル樹脂系粉体塗料の汎用グレードの光沢保持率は、
耐候性促進試験240時間後、光沢保持率70%は満足しますので、配電盤類の塗装基準は満足します。
耐候性促進試験400時間後、光沢保持率70%前後です。

※数値はある塗料の実測値です。

配電盤類に使用されるポリエステル樹脂系粉体塗料の汎用グレードの色差変化は、
耐候性促進試験240時間後、色差⊿E=4(400時間)以下なので、配電盤類の塗装基準は満足します。
耐候性促進試験400時間後、ホワイト以外は色差⊿E=4(400時間)を超えます。
特にレッド・イエローの色変化が大きいです。

※数値はある塗料の実測値です。

超高耐候性グレードは、劣化が極めて遅い。(超高耐候性6色)

超高耐候性グレードの光沢保持率は、高い値を継続し劣化しにくいです。
耐候性促進試験900時間後でも、光沢保持率70%を満足します。

※数値はある塗料の実測値です。

超高耐候性グレードの色差は、変化が少ない
耐候性促進試験900時間後でも、色差⊿E=4以下です。(ブラックを除く)

※数値はある塗料の実測値です。

まとめ

従来の目立たない場所に設置する配電盤類の塗装は、汎用グレードで良いかもしれません。
屋外設置のEV充電器設備や操作盤は、光沢が劣化し色彩が褪せると外観が著しく悪くなります。
また、従来のアクリル焼付型塗料やアクリルウレタン型塗料から粉体塗料に切り替える際、同様の耐候性をえるためには高耐候性グレード、超高耐候性グレードの採用をお勧めします。
欠点は、超高級顔料を使用しているのでコストが高いことです。

参考文献
JSIA-T1020 配電盤類の塗装技術   (日本配電制御システム工業会)

おまけ 

耐候性試験機:サンシャインウェザオメーター とは?

主に塗装や樹脂製品を対象とした劣化促進試験です。
太陽光や温度・湿度、降雨などの自然条件を装置を用いて再現し、劣化を促進させ、材料・製品間での劣化状態や耐環境性の評価を行います。

以上 最後まで見て頂いてありがとうございました

ガオ

筐体開発・設計に関わる情報を提供します。
初級設計者の一助になれば幸いです。

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