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はじめての機械製図🐯自主検図方法(製図法5)

機械製図

図面類に不具合があれば、不良品発生に繋がり、事故、クレームとなり多大な被害を与えます。
被害を与えるとともに、会社の信用も大きく下げてしまいます。
図面類の不具合を防止するために検図は重要な作業です。

図面類を作成した設計・製図者は、通常、設計に精通した上司や先輩に検図してもらいます。
しかし、修正点が多ければ、作図時間も検図時間も無駄になり、設計・製図者の評価も下がります。

そんなことが無いように、検図依頼する前には、徹底した自主検図を行いましょう。
ここでは、配電盤類を例に自主検図の方法について記します。

「仕様の確認」から「図面類完成」まで

設計依頼を受けてから図面類を完成し検図依頼するまでの手順は、概ね下記の様ではないでしょうか?
もちろん途中で、上司や先輩に数多く相談され、助言を頂いていることと思います。

・仕様の明確化
 設計を受ける際には、開発対象とその要求品質が与えられます。
 コストダウン・品質向上・クレーム対策等の目的要求品質を、良否判断が可能な
 数値や言葉からなる設計仕様に置き換えて明確にします。 

・機能の具現化
 仕様を達成するために、複数のアイデアから選択した構想を組立図に具現化します。
 アイデアのポンチ絵→構想設計→詳細設計へと3D化を進め、具現化します。

・図面類への展開
 機能を実現するために、部品仕様を図面類に漏れなく表現します。

・設計検証
 設計仕様のエビデンス(計算書結果、3D上の干渉確認等)を用意します。
 図面類が設計仕様を満足し、要求品質のQDCを満たすことを再確認します。

・図面類完成
 図面類が完成したら検証資料と共に提出して検図を依頼します。

自主検図のポイント

1.自主チェックは、図面作成からしばらく時間をあけて実施します。
 図面作成直後は、無意識に「図面は正しい」前提になっていますから誤りを発見できません。
 作図してから検図まで、できれば1日あけましょう。
 午前に作図したら、少なくとも午後まで待って気分を変えてから検図しましょう。
 時間があくと「図面は誤っている」前提で、第三者の視点で誤りを見つける検図ができます。

2.目的や要求品質が過不足なく図面に反映されているか確認します。
 目的や要求品質をどのように図面に反映したかを把握します。
 設計仕様がもれなく図面に反映されているか、検証記録を見て誤りや漏れの有無を確認します。

3.構想に問題ないか?組立図を見て確認します。
 例)部品同士の干渉がなく、円滑・安全に動作するか?
 例)機器を取付け、配線するスペースは十分あり、組立は容易か?
 例)絶縁距離は確保され、短絡・感電の危険はないか?
 例)電線、ケーブルは適切に結線、適切に保持されているか?
 例)雨水の侵入はなく、結露対策も十分か?
 例)耐風圧、耐震、及び積雪等の想定荷重に耐え、歪みなく強度は十分か?
 例)部品の着脱ができ、分解・点検が容易か?
 例)誤組立、誤接続、誤操作、誤作動の恐れはないか?
 例)過去のクレーム・改善申請は解消されているか?

4.製造方法に問題がないか?従来と新規の部品図を比較して確認します。
 例)部品図は、製図方法・表示に誤記はなく、見やすいか?
 例)入手が容易で、安定した材料調達ができるか?
 例)新規・特殊な製造工程では、作業を想定した指示事項の過不足はないか?
 例)組立に必要十分な精度を指示し、必要以上の精度を求めていないか?
 例)従来の加工方法・設備を変更した点はないか?
 例)切断面処理の指示があり、部品の取り扱い中に怪我をする恐れはないか?
 例)塗装ラインを考慮したハンガー穴・水抜き穴はあるか?
 例)塗装できない部品の防錆対策の指示はあるか?

5.検図チェックリストを使用します。
 チェック項目に漏れが生じない様にチェックリストを使用します。
 部署のリストに自分の注意点を追加して作成しても良いです。
 リストの見直しも重要です。軽微な誤記でも重複した場合や、設計ミスはリストに展開します。
 リストは更新時期を定め維持管理します。変更がなければ「変更なし」と更新します。

検図依頼時に用意する資料

●検図者が、設計意図と開発(変更)内容を理解できる資料を、図面と共に提出しましょう。
 図面だけ渡されても判断材料がないので検図者が困ります。 

●何をどう変えたのか? 変更内容は検討した結果が伝わる 以下のエビデンスを準備しましょう。
 開発企画書、適用範囲、
 設計変更の目的(品質向上、生産性向上、原価低減、設計起因苦情、その他)、
 変更の理由、現状、変更案の概要
 設計図書(計算書、3Dデータ、変更前後の図面、原価計算書、新規・廃止・変更部品情報)

まとめ

検図依頼する前には、徹底した自主検図を行いましょう。
製図してから自主検図まで時間を空けましょう。
自主検図では、構想に問題なく、部品図に抜け漏れがないか再確認しましょう。

ガオ

筐体開発・設計に関わる情報を提供します。
初級設計者の一助になれば幸いです。

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