製図は、製品仕様を相手に「正確に伝える」重要な手段です。
機械製図を勉強してない方は基本を身に着けてください。
知識のある方は内容を再確認してください。
今回は、JIS B 0001 機械製図 「11 寸法記入方法」 を説明します。
寸法記入の概要
a) 対象物の機能、製作、組立などを考えて、必要不可欠な寸法を指示します。
b) 対象物の大きさ、姿勢及び位置を明確に表すために必要で十分な寸法を記入します。
c) 寸法は、寸法線、寸法補助線、寸法補助記号などを用いて、寸法数値によって示します。
d) 寸法は、なるべく主投影図に集中して指示します。
e) 特に明示しない限り、図示した対象物の仕上がり寸法を示します。
f) 寸法は、計算して求める必要がないように記入します。
g) 加工又は組立の際に、基準とする形体を基にして寸法を記入します。
基準線の取り方で製品寸法の精度が変わるので、慎重に基準を設定してください。
h) 寸法は、工程ごとに配列を分けて記入します。
例は、切削加工の左側と右側に別けて寸法をまとめています。
i) 関連する寸法は、なるべく1か所にまとめて記入します。
j) 寸法は、重複記入しません。
k) 円弧の部分の寸法は、円弧が180°までは半径で表し、それを超える場合には直径で表します。
l) 機能上必要な寸法は、寸法の許容限界を指示します。
寸法の許容限界の指示がない場合は、普通公差を適用します。
m) 理論的に正確な寸法は寸法数値を長方形の枠で囲み、参考寸法は寸法数値に括弧を付けます。
寸法補助線
a) 寸法は、寸法補助線を用いて寸法線を記入し、この上側に寸法数値を指示します。
b) 寸法補助線は、指示する寸法の端に当たる図形上の点又は線の中心を通り、
寸法線に対して直角に引き,寸法線を僅かに超えるまで延長します。
c) 寸法を指示する点又は線の位置を明確にするため、寸法線に対して適切な角度をもつ
互いに平行な寸法補助線を引きます。
寸法線
a) 寸法線は、指示する長さ又は角度を測定する方向に平行に引きます。
b) 角度寸法は、角度を構成する二辺の交点を中心として両辺の間に描いた円弧で表します。
c) 角度サイズを記入する寸法線は、二平面のなす角の母線のなす角の間に描いた円弧で表します。
d) 寸法線が隣接して連続する場合は,寸法線を一直線上にそろえて記入するようにします。
また,関連する部分の寸法は,一直線上に記入します。
e) 段差がある形体間の寸法記入は、直列寸法を指示するかまたは累進寸法記入法によって行います。
累進寸法記入法は、一方の形体側に起点記号を、他方の形体側に矢印を指示します。
f)狭い所での寸法の記入は、部分拡大図を描くか、引出線によります。
1) 寸法線から斜め方向に引き出した引出線に寸法数値を記入します。
2) 寸法線を延長して,その上側に記入します。
3) 寸法補助線の間隔が狭く、矢印を記入できない場合、矢印の代わりに黒丸又は斜線を用います。
g)対称の図形で対称中心線の片側だけを表した図では、寸法線はその中心線を越えて延長します。
延長した寸法線の端には,端末記号はつけません。
寸法数値
a)長さはミリメートルの単位で記入します。単位記号はつけません。
b) 角度寸法は、度の単位で記入します。
例 90°、45.5°、10°21′5″
c) 寸法数値の小数点は下の点とし、数字の中間に大きめに書きます。
また,寸法数値の桁数が多い場合でもコンマは付けません。
例 123.25 12.00 22320
d) 寸法数値は、寸法線に沿ってその上側に僅かに離して寸法線のほぼ中央に記入します。
水平方向の寸法線に対しては図面の下辺から、
垂直方向の寸法線に対しては図面の右辺から読めるように記入します。
斜め方向の寸法線上の数値、及び角度寸法の数値は、下図の向きに記入します。
e) 寸法数値を表す一連の数字は,図面に描いた線で分割されない位置に指示します。
f) 寸法数値は、図面に描いた線に重ならないように記入します。
g) 寸法数値は、寸法線の交わらない箇所に記入します。
h) 記入する直径の寸法が対称中心線の方向に幾つも並ぶ場合は、各寸法線は同じ間隔に引き、
小さい寸法を内側に、大きい寸法を外側に寸法数値をそろえて記入します。
寸法の配置
a)直列寸法記入法
直列に連なる個々の寸法に与えられる公差が累積してもよい場合に適用します。
個々の寸法は寸法公差を伴い、公差の累計は無視できません。寸法のバラツキも大きくなります。
公差が累積しても他の寸法公差と矛盾が生じない様に参考寸法を指示します。
b)並列寸法記入法
並列に寸法を記入するので、個々の寸法公差が他の寸法公差に影響を与えません。
共通側の寸法補助線の位置は、機能・加工などの条件を考慮して適切に選びます。
まとめ
組立の各段階、組立の状態で測定・検査すべき寸法を漏れなく指示します。
製作や検査が困難な寸法指示で無い様注意します。
見やすい図面の作成を心掛けましょう。設計者・製図者の意図を正確に相手に伝えましょう。
参考:JIS B 0001 機械製図より 「11 寸法記入方法」
はじめての機械製図🐯投影図の表し方(製図法1) | ガオの筐体設計 設計の勘所 (gaotekku.com)