今まで図面に無縁だったのに、製図しなければならない。
先輩は忙しくて教育してくれない。
会社にある図面をまねて製図しているが、書き方がわからない。
そんな方は、JISの製図規定を学んでください。製図力アップにきっと役立ちます。
今回は、JIS B 0001 機械製図「10.3 図形の省略」を説明します。
「図形の省略」概要
・かくれ線は、理解を妨げない場合には省略できます
・図形を見やすくするために図形を省略します。
見える部分を全部描くと、図がわかりにくくなる場合は、対象物が容易に理解できるよう、
図形を増やして見易く、近い部分だけを描き、部分投影図や補助投影図を用います。
部分投影図の例
補助投影図の例
・一部に特定の形をもつものは,なるべくその部分が図の上側に現れるように描きます。
例)キー溝をもつボス穴、穴又は溝をもつ管,切割りをもつリングなど
対象図形の省略
図形が対称形の場合には、対象中心線の片側を省略できます。
・対称中心線の片側の図形だけを描き,その対称中心線の両端部に短い2本の平行細線を付けます。
・対称中心軸の片側の図形を,対称中心線を少し超えた部分まで描きます。
この場合、対称図示記号は省略します。
対称図形で片側を省略した図が多いです。
図面を読む際は、図示記号に注意し片側省略に戸惑わないようにしてください。
図面作成時は、対称中心線を越えて図を全部描いた方が相手に理解し易いかもしれません。
<経験から>
試作屋に片側省略の図で発注したら、図の通り「片側だけ」が納品されました。
短納期で急がせて焦らせた結果、図面内容を読み間違えたようです。
私は激怒しましたが「後の祭り」、わかり難い図面を作成した私に非がありました。
横に全体の斜視図を添付するなど、「設計者の意図が相手に伝わる製図」を心掛けましょう。
繰り返し図形の省略
同形のものが多数並ぶ場合、図形を省略できます。
・実形の代わりに図記号をピッチ線と中心線との交点に記入します。
図記号を用いて省略する場合には,その意味を分かりやすい位置に記述するか、
引出線を用いて「10×Φ15」の様に記述します。
・両端部又は要点だけを実形によって示し 他はピッチ線と中心線との交点で示すことができます。
・寸法記入によって交点の位置が明らかな場合には,ピッチ線に交わる中心線を省略できます。
<経験から>
最近は、3D CADから2Dに展開する方が多いので、作図時は省略する方が手間が掛るかもしれません。
しかし、図面を頂く場合は、繰り返し図形の省略をした場合もありますので注意してください。
中間部分の省略
同一断面形の部分(軸,棒,管,形鋼)、
同じ形が規則正しく並んでいる部分(ラック,工作機械の送りねじ,橋の欄干,はしご)、
長いテーパなどの部分(テーパ軸)は、
紙面の有効利用のために中間部分を切り取り、その肝要な部分だけを図示することができます。
この場合,切り取った端部は破断線で示します。
・要点だけを図示する場合、紛らわしくなければ,破断線を省略できます。
・長いテーパ部分又は勾配部分は、傾斜が緩い場合、実際の角度で示さなくてもよい。
まとめ
図面は、仕様を正確に相手に伝達する手段です。見易さ・正確さを主眼に製図しましょう。
製図者の意図を的確に伝達するため図形の省略を使用してください。
参考:JIS B 0001 機械製図より 「10.3 図形の省略」